RHODL Ratio

2025.3.13(木) テクニカル用語集 #
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RHODL Ratioとは？

RHODL Ratioは、ビットコイン（BTC）の市場サイクルを分析するためのオンチェーン指標の一つで、短期保有者（Short-Term Holders）と長期保有者（Long-Term Holders）の行動を比較することによって市場の過熱度や転換点を把握するツールです。
具体的には、1週間前に移動したコイン（短期保有）と1〜2年前に移動したコイン（長期保有）の「実現価値（Realized Value）」の比率を計算し、さらに市場の経過時間（日数）で調整したものです。この指標は、2020年にPhilip Swift（LookIntoBitcoinの創設者）によって開発されました。

計算方法

RHODL Ratioは以下の式で求められます：
RHODL Ratio = (1週間のRHODLバンド ÷ 1〜2年のRHODLバンド) × 市場の経過日数
  • 1週間のRHODLバンド: 過去1週間以内に移動したコインの「実現価値」。
  • 1〜2年のRHODLバンド: 1〜2年前に最後に移動したコインの「実現価値」。
  • 市場の経過日数: ビットコイン市場の開始からの日数で、長期保有傾向や紛失コインの影響を調整します。
  • 実現価値（Realized Value）: コインが最後に移動した時点の価格に基づく価値で、現在の市場価格ではなく「取得価格」に着目します。
この計算により、短期的な投機活動と長期的な保有傾向のバランスが数値化されます。

指標の意味

RHODL Ratioは市場の状態を示すシグナルとして機能します：
  • 高い値（赤いバンドに接近）: 1週間の実現価値が1〜2年の実現価値を大きく上回る場合、短期保有者の活動が活発で市場が過熱していることを示します。これは歴史的に市場のピーク（サイクルトップ）に近づいているサインとされ、投資家が利益確定を検討するタイミングとされています。
  • 低い値（緑のバンドに接近）: 長期保有者のコインが支配的で、短期的な投機が少ない状態を示します。これは市場の底値（サイクルボトム）や蓄積フェーズを示唆し、購入の好機と考えられることが多いです。

特徴と利点

  1. 市場サイクルの正確な特定: RHODL Ratioは、ビットコインの過去のマクロサイクル（例えば2013年、2017年、2021年）のピークを数日以内の精度で特定できた実績があります。
  2. 偽シグナルの回避: 他のオンチェーン指標と異なり、2013年4月のサイクル高値で誤ったシグナルを出さなかった点で信頼性が高いとされています。
  3. 長期トレンドの調整: 市場の経過日数を乗じることで、ビットコインの歴史が進むにつれて増加する長期保有傾向や紛失コインの影響を補正しています。

具体例と歴史的パターン

  • 2017年末: RHODL Ratioが赤いバンドに達し、ビットコインが史上最高値（当時約20,000ドル）を記録した後、大幅な下落が始まりました。
  • 2021年: 価格が69,000ドルに達した際も過熱を示しましたが、2017年ほど極端なスパイクは見られず、市場の成熟度が上がった可能性が指摘されています。
  • 2022年末: RHODL Ratioが緑のバンドに落ち込み、ビットコインが16,000ドル付近で底値を形成。この時期は「最大の機会」とSwift氏が述べ、2023年第1四半期の70%上昇につながりました。

使用方法

  • 投資判断: 赤いバンド（例: 20,000〜50,000）に近づくと売却を検討、緑のバンド（例: 90〜350）に近づくと購入を検討する目安となります。
  • 長期視点: 高時間枠での分析に適しており、短期的な値動きよりもマクロトレンドを捉えるのに役立ちます。

注意点

  • RHODL Ratioは単独で使うのではなく、他の指標（MVRV Z-ScoreやHODL Wavesなど）と組み合わせることで、より正確な判断が可能です。
  • 市場環境の変化（機関投資家の参入や規制など）により、過去のパターンが将来に当てはまらない可能性もあります。